魅力を語る

札幌黄を愛し、この種を絶やさぬよう、それぞれの立場で懸命に頑張っている人たちが札幌黄への熱い思いを語る。

須貝 昭博

北海道メンフーズ(株)須貝 昭博さん

加工業者

「昔の札幌ラーメン」を再現させるための最後の1ピースが「札幌黄」だった。

麺に「玉ねぎを練りこむ」という新しい加工法を開発した「オシキリ製麺」専務取締役(平成26年3月当時)の須貝昭博さん。札幌黄にたどり着くまでには、紆余曲折があったようだ。

「札幌黄や後継品種の『さつおう』じゃないとあの『甘さ』が出ないし、ほかだと玉ねぎ臭が強くなっちゃうんだよね。『美味いは甘い』と北大路廬山人が言ったと言われているけど、ただ甘いだけじゃなくて、野菜から出る甘みは優しい甘みなんだよ。」
「優しい甘みだから、最後の一滴までスープを飲み干せる。そうやって、スープを飲み干すことができるラーメンが、私が作りたかった『昔の』札幌ラーメンなんだよね。袋ラーメンの場合、スープだと札幌黄をたっぷり使えないから麺に練りこんで、昔のラーメンを再現したんだ。」

竹田 裕

竹田 裕さん

札幌黄生産農家

札幌黄を次の世代にも引き継いでいけたら。

竹田さんは、明治44年に札幌に入植した先祖から数えて5代目、柔和な笑顔が印象的な好青年小学校の時から農業が好きでずっと両親の手伝いをしてきたので、すっかりベテランの風格を漂わせている。

「うちの札幌黄は主に北関東に出荷していますが、向こうの人の方が札幌黄のことを知っているような気がします。地元の札幌でもっと有名になってくれれば付加価値が上がり、作る人がもっと増えるんじゃないでしょうか。」
「自分としても、札幌黄を含めた札幌の玉ねぎのPRに、ぜひ協力したいと思います。また、先祖から受け継がれてきたものとして、守っていかなければならないと考えています。丘珠地区には札幌黄の他にも、代々伝わってきたものとして丘珠獅子舞がありますが、自分の子どもたちにも、『札幌黄』と『丘珠獅子舞』の2つはきちんと伝えていきたいですね。」

坂東達雄

ヴェール農場坂東達雄さん

札幌黄生産農家

在来種の札幌黄を作るのはワクワクする仕事。

坂東達雄さんは、丘珠で代々続いている玉ねぎ生産農家。現在は江別市角山の畑で札幌黄を生産しているが、札幌黄への思いは一途で人一倍強い。

「葉が付いたまま収穫することも、札幌では珍しいことなんだよ。北見などの産地では、その方が良く乾くからと一般的なんだけどね。」
「また、試行錯誤する中で、収穫後に長めに寝かせると、玉ねぎが休眠状態になって糖度が増したり、畑に直に種を撒いた札幌黄の方が長期保存できたりすることに気付いたという。苗を別の場所で作ると、畑に移植するときに根を切らなきゃならないけど、一回根を切ると、それだけ子孫を残す力が弱まっちゃうんだろうね。そういう発見があるから、札幌黄のような在来種を作るのは面白いんだよ。」
「農家が作物を作るだけではなく、加工して販売まで行う『6次産業』化が進めば、札幌黄のような通常の流通ルートに乗りにくい農産物でも勝負できると思う。」と語った。

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